元警視庁刑事・北芝健が説く…「刑事訴追の恐れがある」。証言拒否連発で政府中枢を守った佐川

3月27日。衆参両院の予算委員会で証人喚問があった。
呼ばれてしゃべったのは前国税庁長官の佐川宣寿(のぶひさ)という東大出身の1959年生まれの男子。ぴったり60歳。福島県いわき市の出身。
JR新橋駅前のSL広場あたりのサリーマンらは「東大法学部の典型だよな」とか言ってたが、彼は経済学部。中学3年の時にお父さんが亡くなって東京に出た。中3で東京の中学に転校だ。この時点でもう都民。都立九段高校から東京大学。二浪、二浪と言う人もいるが、何だって結果東大ならどうでも良いの声には負ける。
大蔵省入って片山さつきと同期。で、16年6月に理財局長になった。でもって森友学園の国有地売却問題が起きた。
忖度(そんたく)で安倍総理や昭恵夫人の気持を汲み取って対処だ、との声や「いやいや官邸からの指示があったべ」と責める声。18年3月9日、「国有財産行政への信頼を損なった」ということで麻生財務大臣から「減給20%、3ヶ月の懲戒処分」を受ける。
でも同日依願退職。退職金支払われる。4999万円。でも減給20%とか言われたあとだから66万円差し引かれた。
この委員会では野党の他、丸川珠代参議院議員も追求した。丸川珠代ってのも東大卒でテレビ朝日でアナウンサーしてた経歴。森友学園問題が始まったのは14年だ。この時の理財局長は林信光という人。近畿財務局という直接かかわる役所の局長が枝広直幹という人で今は広島県の福山市長をしている。
その後、15年7月4日、中原広理財局長に変り、富永哲夫近畿財務局長にも変った。この年の7月7日には迫田英典理財局長で武内良樹近畿財務局長となる。さらに9月5日には昭恵夫人が森友学園小学校名誉校長に就任した。
16年6月17日に佐川宣寿理財局長、美並義人近畿財務局長が誕生。しかし、14年の4月から森友問題は始まっていて、森友学園側と財務省のやり取りはどんどん進んで行った。佐川宣寿と言う人があれこれ1人でやったみたいなディスりを言う者は多いが1人じゃやれまい。
今回の予算委員会で呼ばれた佐川元国税庁長官は「首相や財務大臣、官邸からの指示はない。理財局の中で行ったのみ」と言い、更に「森友学園との交渉に総理夫人の指示も影響も一切なかった」と答えている。そして「刑事訴追の恐れがあるため、答弁を差し控える」との言動は55回だった。
それはそーだろーってSL広場前の新橋サラリーマンらの中には「佐川問題」を評するムキもあった。「佐川が理財局長になったのは16年だろ。その前の14年以来の理財局長や近畿財務局長は呼ばれないってわからん」とも言う。
佐川答弁では自分自身の「改ざん」関与とか、改ざんの経緯とか時期を知ったのいつ、とかについては「刑事訴追の恐れがある」で証言は拒否。総理夫人の名前が決裁文書から削除された一件も「刑事訴追の恐れがある」で終了した。新橋サラリーマンらは
「森友の籠池夫婦が8ヶ月もぶちこまれているのは人権問題じゃないか」
「自殺した近畿財務局職員の遺書に書かれている中身や名前どうして隠すんだ」
と声高に言っていた。
うーむ、これが「国民の声」か。
国有地8億円いきなり値引きは香取慎吾のプライベートイタリア旅行でのホテル1泊40万円くらい庶民には衝撃的でもあるが、今回の財務省文書改ざん問題もよーわからん事になってしまっているからもうお手上げの事象だ。やっぱ為政者の民に対する姿勢は「寄らしむべし、知らしむべからず」なんだなーと今更ながら実感。
議員もタレントも不倫活動活発で「生命力強い!」と感じさせられるのとはまた別の無力感。そして官僚エリートも強い。証言拒否連発で政府中枢を守ったこの佐川って人には将来良いポストがきちんと用意されるし、退職金など目じゃないファイナンシャリーの明るい未来が見えている、と内調出身の事情通は断言した。わかっちゃいるけどワシらはかなりさびしい。

2018022610180000.jpg北芝健(きたしば・けん)
元警視庁刑事、一般社団法人日本安全保障・危機管理学会顧問、犯罪アナリスト、作家。
東京・葛飾区出身。祖父・両親が医師の家庭に生まれるが、本人は家事を継がずに文科系の早稲田大学へ進学。在学中1年間、英国居住ののち、中近東・インド・東南アジア・米国…へのバックパッカーとなる。卒業後、貿易会社を経て警視庁入庁。刑事警察。公安外事警察の私服捜査員として事件捜査に従事。現在は大学院講師の傍ら、単行本著作、漫画原作、各メディアでコメンテーターをしつつ、沖縄岡柔流空手を教える。