ワーナーミュージックのブロンフマン会長は音楽出版会社「ワーナー・チャペル 」売却でEMIミュージック買収を狙っている!?

洋楽に詳しい高橋裕二さんが自身のブログ「洋楽天国」(http://yogakutengoku.blog135.fc2.com/)で、「ワーナーミュージック」の売却と、先ごろシティグループに買収されるをとが発表された「EMIミュージック」について続報が語られていた。興味深かったので、取り上げることにした。
それによると「今週アメリカのニューヨーク・ポスト紙やロイター通信、音楽業界誌のFMQBやヒッツ・マガジンがワーナーミュージックの売却について様々な憶測を交えながら伝えている」と言うのだ。

《24日のニューヨーク・ポスト紙は、勿論ワーナーミュージックは全部を売りたいという案があるが、出来れば音楽著作権を管理する音楽出版部門の「ワーナー/チャペル」を売りたいと考えていると関係者の取材で記事を書いている。「ワーナー/チャペル」はEMI音楽出版と肩を並べる音楽出版の最大手。ワーナーミュージック全体の売上の15%を占める。
「ワーナー/チャペル」の買い手候補の筆頭はドイツの出版最大手のベルテルスマン。アメリカの投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)と音楽出版を主とする合弁会社BMGライツ・マネージメントを設立、クリサリスを始め積極的に音楽出版社を買収している。
「ワーナー/チャペル」を買いたいと思っているのはユニバーサルミュージックの音楽出版部門と、マイケル・ジャクソンとビートルズ・カタログを管理する音楽出版社SONY/ATV。勿論ソニーミュージックの子会社だ。

ここにきて新たに買い手が現れた。ロシア系の億万長者のレナード・ブラヴァトニック。不動産やメディアを持ち、既にワーナーミュージックの株を2%持っている。ワーナーミュージックのエドガー・ブロンフマン会長とも仲が良い。他にもバックストリー・ボーイズやインシンク、ブリトニー・スピアーズで財をなしたレコード会社「ジャイブ・ゾンバ」の創業者のクライブ・カルダーや投資会社「アポロ・マネージメント」も手を挙げた。
エドガー・ブロンフマンは「ワーナー・チャペル」を売った金でEMIミュージックを買いたいと思っている。その場合、買収金額の多くを占める音楽著作権の管理会社「EMI音楽出版」はいらない、レコード部門だけを買いたいようだ。ワーナーとEMIのレコード部門が一緒になれば、ユニバーサル、ソニーに次いでアメリカで3番目のレコード会社になる。そして「ワーナーEMI」の最高経営責任者に収まる。
まもなく米金融最大手のシティグループもEMIミュージックを売りに出す。その時レコード部門と音楽出版部門がばら売りにされた場合、音楽出版部門のEMI音楽出版の買い手に誰が手を挙げるのだろうか。ユニバーサルやソニーが「ワーナー/チャペル」を買ってEMI音楽出版も欲しいと言ったら、EUの独禁法に抵触するのは間違いない》

ところで、シティグループによる「EMIミュージック」の買収だが、改めて記すと、投資会社「テラ・ファーマ・キャピタル」が保有してきた「英EMIミュージック」の全株式を取得したというもの。これは資金難に陥っていた投資家のガイ・ハンズ氏から取得したという。しかも、情報によるとシティーグループは、買収と同時にEMIに対して資本の増強を実施した。その結果、、EMIの負債は34億ポンド(約4500億円)から、12億ポンド(約1800億円)へと65%も大幅に削減された。これによって3億ポンド(約400億円)を超える利用可能なキャッシュを有することになり、この資本構造によって「EMIの財務力は高まった」とされ「アーティストやソングライターの価値を最大に高める戦略が実行できるようになった」としている。
買収後に関しての役員体制は、「従来どおりの経営陣で経営される」と言う。
「EMIは、この12ヶ月間、クリエイティブにおいても、またビジネスでも成功をおさめてきましたが、今後も引き続き高い目標を掲げた成長戦略を追及していく」
としている。
で、EMIのロジャー・ファンクソン最高経営責任者(CEO)は、今回のシティグループによる買収劇について

「シティによるEMIへの資金増強は、当社にとって大変ポジティブは一歩です。これによってEMIは適度な水準の債務と健全な流動資金を持ち、業界で最もしっかりしたバランスシートを持つ会社の一つとなりました。その堅固な基盤でビジネスを進めていけると確信しています。私たちは既に業界が直面する課題の克服に向けて素晴しい進歩を遂げてきました。音楽と出版の2つの事業部門のより緊密な提携は、クリエイティブな才能のために既に見事な結果を出しています。私たちにはアーティストやソングライターを成功へと導く将来への明快なビジョン、強く献身的な経営陣、そして今、適切な資本と財務構造が備わりました」
 とするコメントを明らかにしている。
シティグループは今後、EMIの財務の体質を強化する方針だ。いずれにしても、ロジャー氏が語るように「EMIミュージック」は、「レコード部門」と「音楽出版」を抱えている。ビートルズやコールドプレイのCDを出し音楽出版を握っていることから魅力的なレコード会社とも言われている。
シティグループのStephen Volk副会長が、買収後後のMAL(EMIの直接の持ち株会社=Maltby Investments Limited)の会長を務める(兼務)が、EMIの買収について

 「シティは、EMIの持ち株会であるMALのオーナーシップを引き継ぎました。このプロセスでEMIは以前の維持不可能な債務負債を65%減収させ、しっかりしたバランスシートを持つようになり、事業の成長への投資が可能となった。これは、EMIやその従業員、アーティスト、ソングライター、サブライターにとって前向きな進展となる。私たちの目的はEMIが私たちの株主に対して長期的に最大の業績を上げるようにすること。EMIは象徴的な企業であり、私たちはEMIの経営陣とその戦略の両方を完全にサポートしていく。これはEMIに所属する全ての人にとっていつも通りのビジネスを遂行することを意味している」
と語っていた。
いずれにしても、今後の成り行きが注目されるところだ。