富士山「世界遺産」登録を叫ぶ前に重要なことが…。山麓に湧く日本最大の柿田川を語る②

富士山を「世界遺産」するための運動が盛んに行われているが、「世界遺産」に登録されない理由は、富士山周辺に不法投棄されたゴミが大量にあることだという。「景観を損ねている」というのである。しかし、不法に産業廃棄物は大量にあるだろうが、しかし、一体、そのどこが景観を損ねているのか? 富士山を「汚い」という人がいるんだろうか? ま、登山した人が「登ってみると岩ばかり」なんていう人はいるが、そりゃ、火山だから当然である。しかし、不法投棄なんてものは、「世界遺産」への登録以前の問題だ。富士山については、「世界遺産」への登録を叫ぶ前に、まずは力を入れなければならないものがある。まずは「柿田川」(写真)である。
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柿田川は、静岡県駿東郡清水町というところにある。朝日新聞社の「名水百選」にも選ばれている川である。作曲家でアレンジャーの林哲司さんは、この柿田川に魅せられて東京から三島に移り住んだ。林さんは、毎朝、柿田川に水を汲みに行き、柿田川の水でコーヒーを飲むのが楽しみだと言っていた。NHKでも「柿田川水中紀行」なんてスペシャル番組を放送したことがあった。これは、柿田川が日本の河川の中でも最も綺麗な川であることを伝えていた。しかし、柿田川が有名になればなるほど観光地化が進んでしまった。柿田川は、静岡県の三島市と沼津市に挟まれた小さな町「清水町」に流れる。富士山の伏流水を集めた湧水の川。
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国道一号線の横から、忽然と湧き上がっている。その湧水が幅10mから50mの川になり、沼津市の「狩野川」に流れ込んでいる。驚くのは、この柿田川というのは、僅か1200mしかないことである。しかし、この川が、都市の河川としては比類のない水質を持っていることだった。
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年間を通じて15度前後という、ほぼ一定の水温を保つ柿田川周辺には、特殊な生物環境も作り上げている。例えば、高地の水生植物であるミシマバイカモや、渓流の魚として知られるアマゴ、深山渓谷のヤマセミなど、都市の河川としては珍しい生物があふれているのだ。また、柿田川は静岡県東部地区約40万人の貴重な飲料水にもなっていて、汲み上げた飲料水は「ほとんど消毒もなく」家庭に送られているほど。今は分からないが、かつては、町主催で「蛍を観る会」もあったそうな。しかし、かつては1日150万tもあった湧水は、今や3分の1にまで減っていると言われる。また、水質も明らかに落ちている。その原因は、柿田川周辺の観光地化である。周辺は公園となり、護岸工事や宅地化、生活廃水で破壊されつつある。当然、自然保護団体も動くが、どうにもならないようである。清水町は、周辺の更なる公園化を計画したそうだ。公園にすれば、観光地にもなるし町に金が落ちるってわけだ。ま、僕だったら、どこかメーカーと組んで「柿田川の湧水」なんて水を売るだろうが…。
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いずれにしても、作曲家の林哲司さんは「役人の考えることは、観光しかない」と言っていた。で、保護の方法として、一部に柿田川の周辺の土地を全て買い占めてしまう案もあったことも明かした。「柿田川の周辺の土地を買い上げてしまえば、開発も出来なくなる」。しかし、現実に、それは不可能なことだった。いずれにしても、「富士山を世界遺産にしよう」と叫ぶ前に、もっと、考えなければならないことがあるってことだ。富士山が生み出しているものは沢山ある。まずは、その1つひとつを護っていくことではないか。安倍晋三は「美しい国、日本」なって言っているけど、何だかなぁー。