素朴な疑問? 今夏にも“世界遺産”への登録の可能性が出てきた富士山頂は静岡県か!? それとも山梨県なのか!?

今年の夏にも“世界遺産”に登録される可能性が出てきた富士山。その富士山について、静岡県側と山梨県側と、どちらから観た方が「表側」か「裏側」か…!?なんていう、いくら正月だからと言っても実にナンセンスな質問を日本テレビの「新春月曜から夜ふかし関ジャニ村上とマツコ日本のご当地問題SP」という番組でやっていた。
表富士は静岡県側だから、どちら側から観た富士山が好きなのか…と言うことになるが、よく言われているのは宝永山のある静岡県側から観た富士山は女性的で。大沢崩れのある山梨県側から観た富士山は男性的という。そういった意味では見方によっては全然違うことは明らか。あとは箱根や駿河湾をバックに観た富士山か、富士五湖をバックに観た富士山がどうかーーというぐらいか。10005238.jpg
しかし、それは好みの問題だから何とも言えないが、それとは別にマツコ・デラックスは間違った解釈をしていた。もっとも、この番組は録画だろうから、マツコのコメントをそのまま放送している番組スタッフも意外に知識が乏しいのだろう。
と言うことで、まずは「富士山がどっちのものか!?なんて争うのは好きではない」というマツコの意見はいいとして、その後の発言。マツコは「富士山の頂上は、確か神社なんでしょ。だったら静岡県でも山梨県でもないんじゃない!?」と言っていた。
…この点についてはマツコの言う通りだ。かつて頂上は国有地か神社かで争われた時、最高裁は国の主張を退け神社側の主張を認めた。この神社とは「富士浅間神社」のことである。最高裁判決で富士山は本八合目以上は富士浅間神社境内ということに。そういったことではマツコの発言には間違いはないのだが、しかし、正確に言うとその富士浅間神社ーー富士山本宮浅間大社の総本宮は静岡県富士宮市にあるのだ。と言うことは富士山の山頂というのは静岡県ということになる。実は、この問題は富士山ではデリケートな話となっているだけに、この時期にテレビのバラエティー番組なんかで軽はずみに発言するのは正直言って避けた方がよかったように思うのだが…。
と言うのも国と浅間神社は最高裁まで一歩も譲らすに争ったわけだから、結果的に神社の主張が通って勝ったと言っても遺恨のようなものが少なからず残っていることも事実。
一般的には「そんなもの、どうでも…」と言う意見もあるだろうが、現実はそんな簡単なものじゃない。これはある意味で“領土問題”にも近い。あえて言うなら…「例えば、富士山の代表的な登山道(登山口)にも表れている。
まず、富士山は最高裁の判決は別として富士浅間神社の観点もあって本宮のある「富士宮口」が“表口”としている。他に御殿場口、須走口、河口湖口、吉田口と合わせて一般的に5つの登山口があるが、この中で山梨県側の吉田口というのは五合目で河口湖口と合流し吉田口となっている。その後は本八合目で須走口に合流する。要するに本八合目が静岡県と山梨県の県境になるのである。
とにかく浅間神社からすると、国と一緒になって神社の主張を否定してきた山梨県に対しては好意を抱いていないとされる。そのため最高裁判決以降、本八合目の県境には印の入った杭まで打ち付けている。これが現実である。
因みにではあるが山小屋も、頂上で軒を並べる「山口屋」「東京屋」そして「扇屋」というの3つの山小屋は、すべて静岡県駿東郡小山町須走の旅館が経営に携わっている。
もっとも、管轄官庁は林野庁の所管・営林署と総務省か。で、山小屋の営業は神社境内だから、お布施なんてことにはならないだろうけど、結局のところ富士山の管理というのは(厳密に言ったら)静岡県ということになるのだろう。
ま、そうは言いつつ富士山を富士五湖共々観光地化してガッツリ儲けているのは商魂たくましい山梨県ということにもなる。今後、世界遺産なんかに登録されたりしたら、一番張り切るのも案外と山梨県だったりして。もっとも富士山の「表」か「裏」かについては、富士登山をしてみると、山梨県側の登山道ーー吉田口からは朝、御来光は拝めない。静岡県側の須走口本八合目まで来てようやく拝める。富士山はやはり御来光が見えるのが「表」だろう…。