“なんちゃってアイドル”を使っての舞台は失敗だった朝倉薫演劇団X’masファンタジー!!

20091223095530.jpg何事も新しいことにチャレンジするのは大切なことだが、新しいことにチャレンジするには、やはり人材と環境が重要だってことを改めて実感させられた。
メジャーなものでも何でもないが、「朝倉薫演劇団」という“アイドル劇団”のクリスマス公演のことである。22日の夜と、23日の昼夜2回、合わせて3公演が東京・新宿の歌舞伎町にある風林会館5階の特設・朝倉薫劇場で行われた【写真】。ケチをつける立場にないが…正直言って、観た限りでは大失敗…とは言わないまでも明らかに失敗だった。さすがに朝倉さんにも苦言したが…。
公演は2部構成。前編の第1部が舞台公演で、後編の第2部が歌は踊りの音楽ショー。構成としては、まるで「新宿コマ劇場」の特別公演みたいで面白いと思うのだが、しかし…。第2部については、まあ良かったが、問題は第1部の舞台公演だった。
脚本・演出の朝倉さんは、新しいチャレンジとして「新感覚リーディングドラマ」と得意満面な表情で挑んでいた。会場内に13本のマイクをセットして、いわゆる「朗読劇」を演じるのだが、ぶっちゃけ、企画自体に無理があった。
考えてみれば、超ビンボー作家で劇団「朝倉薫演劇団」を主宰する朝倉さんである。ハッキリ言って新しいことにチャレンジする余裕なんてどこにもない。やってる場合じゃない!そんなヒマがあったら、これまで培ってきた舞台公演でアイドルの魅力を引き出していくことに精力を出した方が、よっぽど有意義なことである。そういった意味で言ったら、チャレンジ精神は買っても、ビジネス的に考えたら朝倉さんの汚点となったことは確か。
舞台は、美少女変身SF学園ドラマ。「ベィビィ・シュガー・コーン」というタイトルだが、このドラマ、元々は沖縄・琉球放送での放送用に朝倉さんが書き下ろしたものだった。企画のプロットを見る限りは面白かった。テレビ・ドラマは12話になっているが、今回の舞台は、その12話を放送前にダイジェストで描いていた感じだった。そもそも、そこにも無理があったのだろうけど、舞台で具現化したら全然、面白くなかった。いやいや、観ていて寒かった。退屈だった。
原因は、何と言っても出演者。30数人も出演しているが、まあ主演はいいとして、下々の…それこそ半分以上が駄目。全く使いものにならない。朝倉さんがオーディションで決めたらしいが、どうにもならない。だいたい「朗読劇」なのに、声が出ていなければ、何を言っているのか分からない。台本を読み流しているだけ。いくら「頑張っています!」と言ったって、評価する以前の問題である。そもそも何も基礎が出来てないんだから評価なんて出来るわけない。それも、朗読劇にしては、登場人物が異常に多いから、誰が誰を演じているのか分からない。しかも、追い討ちをかけるように音響も最悪だった。そこは制作費がないから粗悪になる…。おそらく、お金を払って会場に来た人の9割は訳も分からず、退屈だったに違いない。
初日は酷かった。さすがに朝倉さんも「手直ししたよ。きょうはよくなってる」と、2日目に言っていたけど、それは単に感覚がマヒしてしまっただけ。さらに「お客さんも喜んでるよ」とニコニコしていたが、それは客が、単に出演者の知り合いだったに過ぎない。しっかりしてよ、朝倉さん!!
いずれにしても、新しいものをやるには、冒頭にも書いたが、まず人材(出演者)はもちろん環境も整えなければ不可能なのだ。出演者にしても、少しでも向上心があればいいのだが、実力、能力のないんだから無理。それどころか公演そのもをブッ壊してしてしまう可能性がある。しかも、タチの悪のは、何も出来ないくせにして勘違いしていることだ。これじゃ、劇団で一生懸命に頑張ってきた人は気の毒だ。これが世の中の流れ。「仕方がない」と思いつつ、気持ち的にはテンションも落ちるだろう。だったら、第2部の歌と踊りだけで構成する楽しいクリスマスファンタジーに特化すべきだったかもしれない。
いずれにしても、繰り返しになるが、重要なのは出演者だ。最近は、何でもかんでも素人。素人ばかりが受けて、プロ不在のエンタテインメントになったが、いつの時代でも最後はプロの本領発揮だろう。いや、そうあるべきだ。朝倉さんには、そんな軽い時代だからこそ一過性のアイドルではなく、将来性のあるアイドルを育ててほしいものだし、そういった演劇団を作り上げていった欲しい…と思っているのだが。
朝倉さんは、かつて桜井智という人気声優を発掘、育ててきた実績もある。僕も、松山千春のCDドラマ「足寄より〜旅立ち編」(塚本高史、田口トモロヲ主演=ユニバーサルミュージック)の脚本・演出をお願いした。その後も、今年公開した映画「旅立ち〜足寄より」(大東俊介、萩原聖人主演)では、土台の脚本を書くなど企画に協力した。本来は才能のある人なのだが、何かが足りない…。
ま、金もなく、病気になっても病院にいけない朝倉さんである。人生――おそらく先も短いはずだ。そういった意味じゃ、余命は分からないが、今が重要な時なのに、単なる思いつきでやっているようなミーちゃんハーちゃんの“なんちゃってアイドル”を使って冒険してみたり、無駄な動力を使っていないで現実を直視して頑張ってほしいものである。
由々しいのは、AKB48が人気があるからと、守銭奴の権化ともいうべき“ペテン作家”秋元康なんかを真似て、ちょっと可愛いぐらいのジャリタレを使うことである。情けない限りだ。
この後、6時から最終公演が始まる…。