FMラジオの概念破る!! 松山千春のFMラジオ生番組で演歌がフルコーラスで流れた…

NACK5から演歌が流れた――。だから何だ!っていわれちゃ仕方がないが、FMラジオから演歌が流れるなんていうのは、正直言って、今の時代にあり得ない話なのだ。そのあり得ないことが起こった。デビュー31年目を迎えたフォークシンガーの松山千春が、埼玉のFMラジオ局「FM NACK5」に初登場、23日17時55分から2時間35分の生放送「松山千春のON THE RADIO」を行った。千春がFMラジオでパーソナリティーをするのは、てっきり初めてだと思ったら27年ぶりなんだとか。まあ、とは言っても27年も経てば初めてのようなものだ。今回の生放送は、7月1日からスタートする「松山千春のON THE RADIO」(毎日曜・後10・30~11・30)のスペシャル版のようなものだが、今回は2時間半の長丁場だった。しかも1人喋りである。「『オールナイトニッポン』だって2時間だったからな。そういった意味じゃ、2時間半というのは初めてかもしれない」と千春は言っていた。東京都内のNACK5スタジオに千春が入ったのは4時だった。「きょうは、俺の選曲でやる」と、わざわざ千春がMDに曲を編集して持ってきた。それは、もはやFMラジオの概念を無視したものとなっていた。5時55分。番組は軽快にスタートした。そして、1曲目にかかった曲は、何と城卓矢「骨まで愛して」だった。続いて、内山田洋とクールファイブ「そして神戸」と続く。「そして神戸」なんて1972年の曲である。前川清が宇多田ヒカルの母親である藤圭子と結婚した時の頃のヒット曲である。最後には村木賢吉「おやじの海」、大川栄作の新曲「稲妻」ときた…。それにしても「骨まで愛して」にしろ「そして神戸」、そして「おやじの海」。すべてフルコーラスでかかった。ラジオ日本だって、もはやかからないような曲ばかりである。それがFMラジオで堂々とかかるなんていうのは、TOKYO FMはもちろん、J-WAVEだってあり得ない珍事。いや、今後もあり得ないはずである。いずれにしても、2時間半の間に、千春の「賭け」と「長い夜」以外は演歌ばりの選曲だった。これは、放送史に残る大きな出来事だと僕は認識した。ラジオで1枚のシングルをかけてもらうために血眼になって走り回るプロモーターがいる時代である。それだけではない。今や音楽は権利ビジネスの最たるもの。しかもNACK5といえば、今や首都圏ではNO1の聴取率を誇る局である。…まあ、だから出来ることなのかもしれないが、しかし、それをやってしまう千春のパワーというのも評価すべきだろう。ただ、演歌だって音楽である。あの中森明菜だって、ここにきて演歌のカバー・アルバム「艶華」を発売(6月27日)する時代だ。風向きも変わりつつある。千春の生番組をスタジオで聞いていたNACK5の金子嘉之・取締役編成部長も「演歌の番組を作りたいなぁ。だいたい、FMで演歌をかけちゃならないという風潮がおかしいんですよね」と言い出した。ここは、音楽業界の活性化のためにも演歌番組をNACK5が率先して制作すべきだろう。それにしても、千春が、首都圏でラジオ番組のパーソナリティーを担当するのは、デビュー25周年を迎えた01年10月にニッポン放送「新たなる旅立ち~21世紀の君に勇気ありがとう」を担当して以来、実に6年ぶり。ただ、千春の場合、喋りが中心となるため周囲からは「FMラジオにはそぐわない」といった声もあった。しかし、その点については、NACK5も十分に心得ている。田中秋夫専務も、スタジオに駆けつけてきて「いや、話が面白い」と言うほどだった。
10038351.jpg